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細見谷大規模林道工事[七曲(新設部分)]

 2016/11/11 西中国山地(細見谷など)
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新設部分(計画延長1.1km)

渓畔林の終点から、屈折した既設林道部分を避けて、再び既設林道に至る部分(1.1km)
・幅員4m(車道幅員3.0m)

細見谷林道工事では、カネヤン原の営林署作業小屋跡(標高750m台)と、2号橋(標高820m台)下方の屈折点手前(同じく、標高820m台)を結ぶショートカット道を新設する予定になっています。

七曲(廃道予定)

十方山林道は、カネヤン原(上ノ谷、標高754m表示)、5号橋(カネヤン原中ノ谷、標高約750m)を過ぎてなおも南西方向に、細見谷川右岸に沿って下ります。そして、最下点(標高約730m)から少し登って、標高740m台の地点に至ります。

そこには、細見谷川側に小丘が残っており、その上に祠(山の神)があります。山での安全を願って林業関係者が設置したものと思われます。

細見谷川は、祠の下でほぼ直角に曲がり、東南東方向の細見谷渓谷へ流れ込みます。これに対して、十方山林道は、祠(山の神)から曲がりくねりながら高度をかせぎ、北西方向の2号橋(標高820m台)に至ります。2号橋はこの付近で最も北の地点となっています。この付近のことを、通称「七曲(ななまがり)」と言っています。

2号橋に至る途中の4号橋(標高750m台)、続いて3号橋(標高780m台)では、2号橋(標高820m台)を通って落ちる同じ谷(スキヤドウ)を渡って、曲がりくねりながらゆっくりと登っていきます。3号橋では、吉和側の押ヶ峠(標高890m台)に至る林道部分と最も接近しており、ほとんどその真下を通過します。

この七曲部分は、作業車の登坂能力を考えて、断層をうまく避けて造られていると評価されています。

参考:私の山行記(5)

祠(山の神)の横を下って、細見谷川に降りることができます。そこから下流の立野キャンプ場付近までがいわゆる細見谷〈渓谷〉です。私は良きパートナー(Haさん)を得て、この細見谷〈渓谷〉を、立野キャンプ場から祠(山の神)まで2回遡上したことがあります。(2009年8月23日、2010年8月22日)

七曲では二つの断層が交差している

この項と次節の「新設部分~押ヶ峠~吉和西(拡幅部分)」では、現地観察会(2003年6月29日)その他を踏まえて、地質について私なりにまとめてみました。

現地観察会の講師は、宮本隆実・広島大学助教授(地質学)と古川耕三さん(地質学会会員)のお二人です。(『細見谷と十方山林道(2002年版)』古川・宮本pp.8-10)

細見谷(渓畔林のある部分)は、広島県内に多く見られる北東―南西系の断層に沿って発達した谷の一つです。この断層に対して、通称「七曲」付近では、西北西―東南東系の断層が交差しています。このため、地盤が著しい「ゆるみ」状態に達しており脆弱化しています。

STOP5

祠のある付近で山側(STOP5)をみると、断層を確認することができます。泥質岩(左)とチャート(右)だということです。チャートとは、海洋底で放散虫などに含まれるSiO2(二酸化珪素)が固まったものです。

STOP4

3号橋わずか下方で山側(STOP4)を見ると、主断層を確認することができます。北東―南西方向に幾本か平行して走る広島県の断層の一つです。流紋岩(白亜紀)と泥質岩(ジュラ紀)がぶつかっているもので、活断層かどうかまでは確認されていません。

新設部分(2号橋~カネヤン原)

大規模林道工事では、2号橋下方の屈折点手前(標高820m台)辺りから、カネヤン原の営林署作業小屋跡(標高750m台)に向けて、ショートカット道を新設することになっています。

地質の専門家によれば、できる限り平坦な部分を使って、うまく線を引いているとのことです。なお、現地観察会(2003年6月29日)配布の新設予定道路(推定)と比べると、多少ルート変更がなされているようです。

しかし、実際に現地を歩いてみると(2006年4月30日)、二万五千分1地形図(国土地理院)における標高表示(10mごと)では表われてこない細かな起伏があり、予想よりもハードな山歩きとなってしまいました。

カネヤン原の中ノ谷や上ノ谷は、V字谷よりも傾斜のきついY字谷となっています。計画では、これらの区間は、橋梁処理でなくヒューム管処理をするということです。この辺りから土砂が流れ落ちれば、細見谷川下流部の細見谷渓谷まで達する可能性があります。日本百名谷の一つ「細見谷渓谷」が埋まってしまうことはないのでしょうか。

カネヤン原は動物たちの楽園

新設予定ルートを、2号橋の方からカネヤン原に向って下る途中では、いくつかの谷(沢)を渡り尾根を越えていきます。ほとんどスギ植林帯となっているこの地域は、従来は植物学的な興味を引く場所とは考えられていませんでした。しかし、その林床は植物の宝庫であることが、ここ1~2年の調査で明らかになってきています。

2号橋から新設予定ルート沿いに下りて来て、カネヤン原上部の最後の尾根に立つと、それまでの暗い針葉樹林帯から目の前がぱっと開けて、明るい落葉広葉樹の林をみることができます。そして、この場所は、ツキノワグマなどの動物たちにとって恰好の採餌場となっています。さらに、最近ではアナグマ(緑資源機構の調査では未確認の哺乳類)も見つかっています。

金井塚務は、この場所について次のように説明しています。

「渓畔林入り口付近、かつて造林小屋があったところのほど近く(カネヤン原)は緑資源幹線林道の新設が計画されているところである。このあたりは、マユミの巨木やシデ(アカシデ・クマシデ)の古樹に混じって、ヤマザクラ、ミズキ、アズキナシ、ウラジロノキなど液果が実る樹種が多いのが特徴となっている」。(「細見谷に大規模林道はいらない」2006年7月6日付け)

期中評価委員会の現地調査(2006年6月28日)でも、この場所は話題になったようです。そして、2006年11月、カネヤン原付近の林道中央部では、新しいセンター杭が下流部に向けて何本か打ち込まれていました。マユミの大木がある落葉広葉樹林帯を避けて、「新設部分の設計が変更された」のかもしれません。

注:このページは、電子書籍『細見谷渓畔林と十方山林道』アマゾンKindle版(2017年3月6日)の一部です。

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